文章作成における正しい日本語の使い方
目次
口語と文語の違いに注意する
私たちが使っている言葉は、会話をする時の言葉「口語(話し言葉)」と、文章に用いる時の言葉「文語(書き言葉)」の2種類に分類されます。
Webサイト、ブログ、SNSなど、情報発信の方法に応じて、口語、文語のどちらを使用するか、また混ぜて使用するかといったルールを決めることが大切です。
口語と文語の違い
口語 (話し言葉) | 文語 (書き言葉) |
---|---|
今 | 現在 |
このごろ | 近年、最近 |
さっき | 先ほど |
ぜんぜん | まったく |
たぶん | おそらく |
どんどん | 急速に |
こっち | こちら |
そんな | そのような |
でも | しかし、だが |
いろんな | いろいろな、さまざまな |
じゃない | ではない |
どっち | どちら |
やっぱり | やはり |
ですから | そのため |
〜みたい | 〜のよう |
売上は伸びているのにぜんぜん利益が残りません。やっぱり固定費の見直しが必要じゃないかと思います。
- 「ぜんぜん」、「やっぱり」、「じゃない」は口語表現
- ビジネス文書なので文語で書き直す必要があります
売上は伸びているのにまったく利益が残りません。やはり固定費の見直しが必要ではないかと思います。
ポイント
- ビジネス文書は、基本的に文語体で書く
- ただし、「話し言葉はビジネス文章でNG」と決めつける必要はない
句読点を適切に使う
句読点(くとうてん)とは、句点(くてん)と読点(とうてん)の総称です。
- 文章の末尾に打たれる「。」が句点
- 文の意味を明確にしたり、読みやすくするために文中に打たれる「、」が読点
読点の使い方(どのようなときに打つのか)
文化庁の『平成23年度「国語に関する世論調査」の結果の概要』によりますと、「句読点の使い方に関してどのようなことで困っているか」という意識調査に対して、最も多い回答が、「読点(テン,コンマ)の使い方(どのようなときに読点を打つのか)」になりました。
読点(テン,コンマ)の使い方(どのようなときに読点を打つのか) | 70.3% |
行頭や行末の処理の仕方 | 34.1% |
横書きの際の読点としてテン(「、」)とコンマ(「,」)のどちらを使うべきか | 25.3% |
句読点以外の符号(コロン「:」等)の使い方 | 24.6% |
括弧(丸括弧(),かぎ括弧等「」)を綴じるときの句点(。)の使い方 | 19.0% |
そのためにも、句読点の役割を正しく認識することが大切です。
句読点の役割(1)正しく伝える
句読点を適切に使わないと、文章の解釈がわかれてしまうことがあります。
例)
息子は楽しそうに料理をしている母親を見ていた。
- 「楽しそう」なのが、息子なのか母親なのかわからない
息子は楽しそうに、料理をしている母親を見ていた。
- 「息子は楽しそうに、見ていた」が明確になる
句読点の役割(2)文章を読みやすくする
句読点がない、または極端に少ないと読みにくい文章になります。息継ぎのタイミングで句読点を入れることによって、読みやすくなります。
- 主語の直後で、読点を入れる
- 接続詞の直後で、読点を入れる
- 声に出して読んでみて、息継ぎのタイミングで読点を入れる
例)
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例)
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敬語(尊敬語、謙譲語、丁寧語)を正しく使う
尊敬語
相手を敬って、相手を立てるときに使う。
謙譲語
自分をへりくだるときに使う。
自分がへりくだることによって、相手を立てる効果がある。
丁寧語
相手に関わらず、表現を丁寧にしたいときに使う。
基本的には「です」「ます」「ございます」を付ける
使い方の違い
使い方の違い | 尊敬語 | 謙譲語 | 丁寧語 |
---|---|---|---|
言う | おっしゃる | 申す | 言います |
食べる | 召し上がる | いただく | 食べます |
行く | いらっしゃる おいでになる | うかがう 参る | 行きます |
見る | ご覧になる | 拝見する | 見ます |
聞く | お聞きになる | 拝聴する うかがう | 聞きます |
会う | お会いになる 会われる | お目にかかる | 会います |
読む | お読みになる | 拝読する | 読みます |
帰る | お帰りになる 帰られる | おいとまする | 帰ります |
知る | お知りになる ご存知 | 存じる 存じ上げる 承知する | 知っています |
わかる | おわかりになる ご理解いただく | かしこまる 承知する | わかりました |
する | なさる される | いたす | します |
例)
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- 「拝見する」は謙譲語
- 謙譲語は自分がへりくだることによって、相手を立てるために使う
- この場合は、謙譲語ではなく、尊敬語を使うべき
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例)
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- 「ご希望になられる」は二重敬語
- 二重敬語とは、敬語が二重に使われている表現で、日本語としてNG
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例)
あちらの窓口で伺ってください。
- 「伺う」は、「聞く」「訪ねる」の謙譲語で,相手側に使うと誤用になります。
- 「お聞きになる」「お訪ねになる」が正しい尊敬語です。
あちらの窓口でお尋ねになってください。
まとめ
相手にとって読みやすい文章を意識することが最も大切です。
敬語の使い方は苦手な方も多いかと思います。かくいう私もその一人です。やはり相手を敬うという気持ちが基本である以上、敬語はしっかり身につけておきたいものです。それに敬語を知っていると、コミュニケーショが大きく広がります。