催事企画は95%の模倣性と5%の独創性
催事(イベント)というと、一般的に「○○バーゲン」「大売出し」「開店○周年記念」「夏(春、秋)まつり」……等々を思い浮かべるかと思います。しかしながら、催事(イベント)の本質は、そういった形のものではありません。
催事(イベント)の考え方
日本民族学の基礎概念として、日本人の生活には「ケ」(褻)と「ハレ」(晴)の区別があります。「ケ」とは日常生活を意味し、「ハレ」とは日常生活以外の年中行事、地方行事、冠婚葬祭等を指します。もっと明瞭なのは衣服で、今でも「晴れ着」という言葉が残っています。古来、日本民族は「ハレの日」を待ちわび、その日には「日常とちがったものを飲食し」「日常とちがった衣服を着て」この「ハレ」に参加しました。
また、日本人ほど「祭り」の好きな民族はいないかと思います。
聖バレンタインデーとは、「3世紀当初にローマにいた信仰あついキリスト教徒が、異教徒の迫害で2月14日に殉職の死を遂げた。のちに聖バレンタインとして尊崇され、14世紀ころからヨーロッパ諸国ではじまった行事」である。ハロウィンとは「古代ケルト起源で、11月1日が新年で、その前夜の10月31日に、秋の収穫を祝い悪霊を追い出すための祭り」。さらに、クリスマスとは「12月25日に行われるキリストの降誕を祝う祭り。太陽の新生を祝う冬至祭と融合したものといわれる」になります。
本来、日本人の生活に関係のない「ハレ」を、他国から移入して、楽しんでいるのが日本人の特性といえます。したがって、催事(イベント)の基本は、「人々に日常生活とちがったものへ参加していただく」ことであると考えるのが妥当かと思います。
催事企画の基本条件
1. 「ハレの日」「ハレ舞台」を創造するものであること
先の生活機能ランクでいうなら「発展性」以上の機能を満たしうるものであること。もちろん、基本的機能はベースとして満たさなければなりません。
2. 「参加性」があること
「祭り」は「参加する」ことによって喜び、感動が大きく、印象が強くなります。何らかの形で、お客様に「参加」していただくアイデアを盛り込みます。
3. 「意外性」があること
意外性とは「予想と事実は非常に違うこと」を意味しますが、ここでは、羊頭狗肉という意味ではなく、お客様が、その催事に、予想し、期待して来た需要を満たしながらも、それ以外の要素によって、お客様の喜びと印象を強くするものが盛り込まれていることをいいます。
企画のポイント
1. 95%の模倣性と5%の独創性
「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない。」
『アイデアの作り方』(ジェームズ・W・ヤング著)
すべてを一から創造し、創出しようと考えるのはムリがあります。多くの事例を収集、分析し、それらのヒントから何らかの独創性を加えることに努める。そのためには、異業種の事例を参考にすると役立つことも多くなります。ブレーンストーミングで、アイデアを発展させるのも一つの方法です。
2. 部門、店の基本方針をつらぬくこと
「独創性」「参加性」「意外性」といっても、店の基本イメージをそこなうものであってはいけません。
3. 計画は長期的に作成する
少なくとも年度計画を立案し、個別計画を作成します。
4. 目標売上高を設定する
催事計画の主旨によって、目標売上高の設定は異なりますが、主旨、目的に応じて設定する。
企画の立案
1. 企画の主旨、目的を決める
年中行事、地方行事、季節商品の紹介、拡販、イメージアップ等
2. 催事の内容を決める(ねらい)
- 「基本条件」「企画のポイント」を明確にし、具体的内容を決める
- 商品、数量を決める
3. 訴求対象(ドコ、ダレ)
催事内容に適合するお客様は、ドコのダレかを決定する
4. 期間を決定する
5. 実施方法を決める
5-1. 催し物の演出、条件を決める
- ショーその他
- お客様を催事そのものに参加させる方法
- サービス条件(値引き、景品付き、サービス品付き、招待付き等)
5-2. 実施方法を決める
- 自店単独
- 同業者、異業者とのタイアップ
5-3. 宣伝方法を決める
- 期間
- 内容
- 媒体(DM、チラシ、ホームページ、その他)
5-4. 経費予算を決める
- 宣伝費
- 装飾費
- サービス費
- 演出費
- その他
5-5. 催事期間中の人的対策を決める
- 実施細目担当者
- 接客サービス要員(アルバイト手配等を含む)
5-6. 成果目標を設定する
- 動員客数
- 客単価
- 目標売上高
6. 実施企画書を作成する
まとめ
催事(イベント)の基本は、「人々に日常生活とちがったものへ参加していただく」こと。
いろんな事例を参考に、なんらかの独創性を加える。